アクアポリン4について
視神経脊髄炎(NMO)の患者さんだけに検出される『抗体』があると分かったのは、約10年前のことです。
抗体とは、例えばインフルエンザウイルスのような異物が私たちの体に入ってきた時に、その異物だけを攻撃してくれる免疫グロブリンとよばれるタンパク質のことで、B細胞というリンパ球によって作られるものです。しかし、間違って、異物ではなく、自分の体そのものを攻撃してしまう抗体が作られることがあり、それを『自己抗体』といいます。
NMO患者さんには、血液検査で“アクアポリン4抗体”とよばれる『自己抗体』が認められます。他の疾患では認められない抗体です。 現在は、一般の病院でも通常の血液検査で測定できるようになりましたが、検査方法の違いから、大学の測定方法の方が、より検出しやすいと考えられています
そのため、主治医がNMOを疑いながらも通常の血液検査で結果が陰性だった場合は、治験実施施設の一つである東北大学での測定を主治医に相談するとよいでしょう。(無料で検査の依頼を受付けています)
*今回の治験では、このアクアポリン4抗体が陽性の患者さんが参加できることになっています。測定結果をご存知でない方は、主治医に御相談ください。
NMO診断基準
アメリカの神経学会から発表されたものがよく使われています。
脊髄炎と視神経炎になったこと、かつ以下の1〜3の2つ以上を満たせば、NMOと診断されます。
- 脳MRI正常
- 3椎体以上の長い脊髄病変
- 抗アクアポリン4抗体陽性
しかし、アクアポリン4抗体が陽性の患者さんは、脳の症状で発症することもあることが分かっています。
より早く病気を診断し、治療するために、脊髄炎だけや視神経炎だけを繰り返す患者さんのように、診断基準を完全には満たさない場合をNMOスペクトラムと呼び、NMOに準じて対応した方がよいと考えられています。
抗アクアポリン4抗体が陽性である(過去に陽性であった)ことは、病気の診断のみでなく、次に述べる治療を選択するためにも、大切な情報といえます。