「リツキシマブ」は、国内では2001年に『B細胞性悪性リンパ腫』の治療薬として承認されています。
また、日本を含む127ヵ国(2013年11月現在)で使用されています。 2013年1月には、自己免疫性疾患である『ウェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎』、2014年8月には、腎臓の病気である『難治性のネフローゼ症候群』に対しても承認されています。後者は、本邦で行なわれた医師主導治験であり、18歳未満の小児を対象に行なわれ、その効果が実証されています。
海外では、『関節リウマチ』の治療薬として、10年近くの使用実績があり、安全な治療薬と考えられています。
リツキシマブは、生物学的製剤、分子標的薬と言われる注射剤であるため、体内にある目標物(ターゲット)にだけ作用させることができる特徴があります。
そのため、通常の抗がん剤のように、全身への副作用が少ない上に、髪の毛が抜けてしまうことや吐き気で食事が出来ないなどの副作用はほぼ見られません。
ただし、薬にはマウスの成分が含まれているために、点滴前にアレルギーを抑える薬を前もって内服して、点滴を行います。
点滴当日は、アレルギー反応などへの注意が必要ですが、翌日以降は、特に日常生活に制限が生じることはありません。
リツキシマブは、「抗CD20抗体」ともよばれています。リンパ球の一つであるB細胞にだけ存在するCD20というたんぱく質のみをターゲットにして、血液やリンパ節にいるB細胞だけを消失させることができるのです。
悪性リンパ腫の場合には、がん化したB細胞が消滅しますが、NMOの場合には、病気に関わるB細胞が体内から取りのぞかれるため、この病気をコントロールできると考えられています。
リツキシマブがその効果を発揮する期間は、個人差もありますが、通常9ヶ月程度持続します。再投与しなければ、再び、B細胞は正常の量まで回復しますが、同時に病気に対する効果も消失すると考えられています。